自己愛性人格障害の精神年齢(自己愛性パーソナリティ障害)

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このブログでは自己愛性パーソナリティ障害は一見しただけではわからない障害者である、という趣旨で記事を書いています。

被害者は、相手が自分と同じような心の機能を持っていると思うことで(期待することで)、余計に傷つけられてしまうこと、また支配されてしまうことが多いからです。

今回はそんな自己愛性パーソナリティ障害の精神年齢に焦点をあてて、この障害を説明していきたいと思います。

自己愛性パーソナリティ障害の精神年齢は乳幼児で停止している

自己愛性パーソナリティ障害になってしまう理由は、遺伝、環境の2つが関連していると言われています。そして、環境については不適切な養育態度を基本とした「機能不全家庭」がその背景にあるというのが今の一般的な見解です。

機能不全家庭というもの自体はそこまで珍しくもなく、日本人の多くはアダルトチルドレンであると言われています。それは戦争・戦後の時代的な背景もあり、混乱と激動の中で余裕をなくした養育者から十分なケアを受けられなかった世代がまた親となって子育てをしている、という脈々と続いた問題もあるのではないかと思います。

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機能不全家庭に育った人間の全てが自己愛性パーソナリティ障害になるのではありません。むしろ、自己愛性パーソナリティ障害のターゲットになりやすい、いわゆる被害者体質にもなります。

自己愛性パーソナリティ障害は、不適切な養育態度により人格形成がうまくいかないということにより発症します。

それはどういうことかというと、子どもが子供らしい健全な精神的発達を遂げることが出来なかった、ということです。

健全な自己肯定感を持っている人は、自分にはいい部分も悪い部分もある、という感覚を受け入れることができています。ところが、自己愛性パーソナリティ障害の人は、「良い自分」・「悪い自分」という自己感覚をありのままで受けれることができていません。

いわば自分自身という存在が不安定で、自我同一性の拡散がモラトリアム期の人と比にならない病的なレベルである状態にあります。

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自己愛性パーソナリティ障害の人は優越性や「良い自分」を感じることができる自己陶酔的な欲求を常に補おうとします。また、「悪い自分」を感じることは防衛機制によって跳ね返し他者になすりつける(投影)ことで、自分を守ります。

自分自身に対する感覚もそうなのですから、他人のことも一人の人間としていい部分・悪い部分もある、といった認識をすることができません。これは、その能力を獲得しそこなったという意味で「できません」。

乳幼児は憧れの存在になりきったように振る舞いますが、自己愛性パーソナリティ障害にも、他者のことを「まるで自分がもともとそうであるよう」に真似るという行動がよくみられます。健全な発達を遂げた成人が憧れの人を自分とは別の存在だとしながらもリスペクトするのに対し、自己愛性パーソナリティ障害の場合はそこに自他境界がありませんので、他者に対するリスペクトは無く、もともと自分がオリジナルであるかのように振舞うという特徴がみられます。→詳しくは自己愛性パーソナリティ障害は真似る・パクる・コピーする

他にも、ゼロか100か思考など、幼児期特有の思考・行動パターンをとることがとても多いです。

基本的に精神的な発達が乳幼児で停止しているのですね。

自己愛性パーソナリティ障害の精神年齢は低いが知能はある

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これが問題をややこしくする要因なのですが、自己愛性パーソナリティ障害は総じて幼い言動をするものの、知能は普通に発達していきます。

そして高知能であればあるほど、「悪知恵の働く餓鬼」のようになっていきます。

自己愛性パーソナリティ障害の中身は子どもです。欲望に忠実ですし、「勝ちたい」「賞賛を浴びたい」「ラクしていい思いをしたい」「貰えるならいくらでも貰う」…そういった子どもらしい…というよりも、まだ理性の発達を遂げていない動物的な感性で生きています

そもそも、自我の確立に失敗しているので人に共感することが難しく、欲望にブレーキをかけるような感覚が無いんですね。「自分がよければ他人などどうでもいい」としか思えない状態にあるので、自分の欲望を抑止する作用のある感覚が欠落しているんです。

我慢を覚えていくのは幼児期~学童期です。
思い通りにならない時、子どもは自分の心を保護者の手助けを得ながらその感情の処理を少しずつできるように成長していきます。それはそこに安心感が存在するからできることですし、そういった安心感を元にして自分自身の様々な面を一人の人間として統合していくんですね。

この段階で自分の中に生じるネガティブな感情を適切に処理できる心を育てることができなかった場合に、その処理できなかった感情を「自分のものではない」ことにする生き方を身につけたのが自己愛性パーソナリティ障害です。ですので、自分の欲を自分の中で上手く飼いならすことが難しいんですね。

その特性が知恵がついていくことによってどのような行動となって現れるのか、といえば、それは皆さんが困っている問題行動となっていきます。

「自分の欲望のためなら手段を選ばない」という状態ですね。

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あまり知能が高くない自己愛性パーソナリティ障害は、その欲望が周囲の目にも明らかなので、非常に直接的なやり方をしてくるケースが多いです。ところが、「欲望を叶えた成功体験」を元に、様々なやり方を学習していく高知能な自己愛性パーソナリティ障害の場合そのやり方は非常に狡猾になっていきます。その高知能ゆえ、社会的な成功(自己愛性PDが飢餓的を持って欲する「優秀さ」「勝利」「価値」であもる)に邁進していくこともあります。

神経症的競争をし続け、自分の存在価値の証明を病的に追い求め続ける障害、それが自己愛性パーソナリティ障害です。

近くにいると本当にしんどいのですが、その育ちに焦点を当てることで、「本人も好きでそうなったのではない」ということがおわかりいただけるのではないかと思います。

彼・彼女らの特性をふまえて、洗脳されずに、健全な精神状態を保つための一助になれば幸いです。

他にも自己愛性パーソナリティ障害に関する記事をたくさん書いておりますので、是非参考にしていただければと思います。

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コメント

  1. 桜草 より:

    ナル様
    昨日こちらのブログに辿り着き、本当に参考になる内容で感激しながら現在拝読させていただいています。
    私は結婚後、優しかった夫が豹変しモラハラが始まりました。
    動物虐待の心配があったため、現在は別居中です。
    別居後、いろいろな情報を得ていくうちに、初めて自分がモラハラ被害にあっていたことに気づきました。
    夫から人格否定され続け、鬱病になりかけている自分にもようやく気づきました。
    夫のことを以前から周囲に相談していましたが、夫婦はうまく行かないもの。おだてて上手く掌で転がすように。などのアドバイスに従ったところ、余計にモラハラが加速したように思います。
    犬が好きだという割に大切に思う様子が無く、それは私に対してもそうでした。
    犬の心も私の心にも関心がないようです。
    姑も年齢に合わない服を着、70代後半ですがマツエクをし宝飾品を身に付け、決まって自慢話をする変わった人です。家事は出来ずゴミ屋敷のため、ADHDだと思っていましたが、自己愛性パーソナル障害かも知れません。
    別居当初は今後の結婚生活が上手く行くように、どうしたら良いか考えていましたが、今は障害についての理解も進み諦めがつきました。
    離婚まではまだまだかかりそうですが、自分の身の振り方がわかりました。
    これからも、ナル様のブログを参考にさせていただきます。
    本当に感謝しています。ありがとうございます。

    • kinimini より:

      大変な思いをされましたね。
      おだてて上手く掌で転がすように…というのは、モラハラを知っている人だったら絶対に言わないですね…。
      モラハラ加害者は基本的に人間関係を上下で捉えますので、やさしくすると「こいつは自分より下」と認識するだけです…。
      これから先の人生が実りある豊かな人生になりますよう、陰ながら応援しております。