定期接種とされている予防接種についてのまとめ、第五回です。
ワクチンそれ自体の予防効果の是非についてはシリーズ一番最後に触れさせていただき、それぞれのワクチンについての情報は現在の仮説が正しいとした場合でお話させていただきます。
BCG(結核)
1943年に接種が始まりました。
当時はツベルクリン反応検査の結果により接種を行う方式でしたが、何回接種しても陽性にならない人がいたり、陽性になっても予防接種の影響で陽性になっているのか実際に結核に感染しているのかの判別が出来ず、2005年にこの方式は廃止されました。
現在は生後一年以内となってます。
結核の感染経路
結核は結核菌という細菌による感染症です。
結核患者の咳に含まれる結核菌を吸入するなどした場合の、空気感染です。 紫外線に弱いので屋内で感染するケースの方が多く、多くは同居人や職場など距離の近い人からうつります。
結核にかかるとどうなる?
結核に感染し発症するのは10人に1人といわれています。また、保菌したまま症状が出ず、抵抗力が落ちたときに発病することがあります。
結核には肺結核と血行性結核の二種類があり、8割は肺結核です。
BCGには肺結核の効果は認められず、世界的には最初から導入していない国や、導入後に中止した国もあります。血行性結核への効果について世界的に検証されています。
ここはあくまでワクチンについてまとめている記事ですので、血行性結核について書きます。
血行性結核は結核菌が血液の流れにのって全身や脳に運ばれて症状を起こします。
結核性髄膜炎や脊髄神経病変(Pott病)、腹水、湿疹などの皮膚病変、心外膜炎,リンパ節腫脹など、様々な種類があります。
乳児の場合抵抗力が弱いので感染した場合50%の確率で発症するといわれ、急激に症状が進行することが多く、感染した場合重症化しやすいです。
結核性髄膜炎などになる危険性が高いのは6ヶ月までの乳児です。
近年の結核全体の患者数です。全文はこちら。
これは肺結核を含めた結核全体の患者数になりますので、このうちの血行性結核の割合はもっと少なくなります。
死亡率は以下の通りです。
乳幼児の感染は殆どありません。
BCGの副反応の報告
厚生労働省HPより一部抜粋。全文はこちら。
推奨月齢が5ヶ月~8ヶ月未満と推奨されてからは上記のような感じです。
一時期0~6ヶ月と早められた時に副作用が増加してしまった経緯により推奨月齢が変わりました。新生児への接種は結核のリスクを増大させるとされてます。
予防効果
「結核にかかるとどうなる?」のところでも触れましたが、BCGは肺結核においての効果は認められていません。
6ヶ月未満児において血行性結核を防ぐ目的として導入されています。
ところが、以下の表でもわかる通り、平成26年に小児結核で粟粒結核(血行性結核の症状で二ヶ所以上の臓器が病変すること)や結核性髄膜炎をおこしてしまった小児にBCG接種歴があります。
全文はこちら。
感染リスク自体、同居家族に結核患者がいるかどうか?といったところが重要な点ですが、本来防ぐ目的の血行性結核への効果も上記の点をふまえて不明です。
BCGまとめ
BCGの必要性については厚生労働省でも選択制か中止で検討されているそうです。
6ヶ月を過ぎた場合にBCGを打つメリットはほぼありません。6ヶ月未満の子どもが普段接触する人間に結核の患者さんがいる場合は検討してください。…個人的には疑われる場合は接触しないことの方が大切かと思いますが。
以上、今回はBCGについてでした。 この記事だけでなく、ワクチンに関する様々な資料をもとに判断していただければと思います。
次回へ続く。