自己愛性パーソナリティ障害の診断基準の中に「共感の欠如」があります。
診断基準を満たす振る舞いをする人がいても、医師でなければ診断自体はできませんので、こちらのブログでは以下、その傾向を持つ人のことを自己愛者として書いていきます。
自己愛者のコミュニケーションのベースは勝ち負け
自己愛者は健康な自己愛、健康な人間関係を築けないまま大人になった人です。
不健康な自己愛のままで生きていくために、自己愛者達は生存戦略として人間関係を勝ち負け・支配&被支配、などでとらえて適応しています。
同じ人間であっても仕様が違う、と考えるとわかりやすいです。
自己愛者達の振る舞いは「自己愛が強い」などと言われますが、実際は愛を知りません。
愛ではなく、より動物的な欲をベースとして生きています。
健康な自己愛を持った人は、自分を愛することを知り、他者を愛することを知っています。
そこには相互リスペクトがあり、繋がりがあり、互いに互いを思いやる助け合いの人間関係が存在します。
しかし自己愛者の人間関係はそうではありません。
愛を知らない自己愛者は、常に周りの人間よりもより優位に生存することを目的として生きている状態にあります。
自分よりも優位なポジションにいる人間がいれば、取り入って自分も優位なポジションを得ようしたり、あるいは排除の対象にしたりします。根本的に相互リスペクトが無い世界で生きているのです。
共感の欠如
自己愛者の人間関係は勝ち負け…要は、ベースとして全員が敵です。
その認識のままどのように人間関係を作るのかと言えば、利害関係ということになります。
自分にメリットがあるのなら利用する。自分にデメリットがあるのなら排除する。
基本姿勢としてはとてもシンプルですね。
その手口としては詐欺・マインドコントロール的な手法を多く使用するので周りの人間関係を引っ掻き回しますが。
全て自分の利益にするために相手の存在を捉えている時、相手をモノのようにとらえているわけですから共感などしません。
共感しているフリをすることはありますが、共感できる対象ではない…そもそも自己愛者に共感できるような相手は存在しない、ということです。
自己愛者との会話でよくある共感のない「私の方が」
自己愛者との特徴的な会話でよくあるのが、誰かの世間話や愚痴などに対する不適切なマウンティングやディスりです。
自己愛者の人間関係は勝ち負け・利用がベース…となると、健康な人達が通常のコミュニケーションとして行っている会話にも自己愛者特有の歪みが生じます。
互いに労いや励まし合う…こういったものを想定して自己愛者に話をすると、返ってくるのは「そんなの大したことない。私はもっと大変なんだ。」というような、あなたの苦労をカウントしない、自己愛者の方が労われるべきだという趣旨のことが返ってきたり、あるいは「あなたの心構えがなってない!やりかたがおかしい!」といったお説教による「お前は私よりも下だ」というメッセージをぶつけてきます。
自己愛者は特に、やさしい相手に対しては「こいつを支配できる」「こいつよりも自分は優位である」という感覚になりやすいため、こういった不適切なコミュニケーションをやりがちになります。
そして人間関係が上下関係なので、立場が上の人や相手や自己愛傾向が強い相手にはやりません。自己愛者は相互リスペクトを持つことができないがゆえに、より動物に近い感覚でマウンティングをするのです。
自己愛者はあちこちにいる
10人集まれば、こういった自己愛傾向の強い人はほぼ混ざっています。
その強度は様々ですが、取り巻きタイプも含めればもっといるでしょう。
大切なのは、そういう人がいるという前提の振る舞いを身に着けることです。
全ての人が信用に足る人物なのではありません。
誰にどのような態度をとる人なのか、人に上下関係を作る傾向やいびる傾向(イジリと称して人を馬鹿にする傾向など)、使う言葉などから自己愛傾向を探ることはできます。
※ただし、理想化の対象になると自己愛者は猫をかぶっていますので見分けるのが難しくなります。
振る舞いのパターンなどについては他にも記事にしているので是非参考にしてみてください。