モラハラの被害に遭った後、心身症やうつ病などの症状に悩まされるようになる被害者は少なくありません。それは筆者自身がそうでした。
では被害者は一体何にダメージを受けているのでしょうか?
モラルハラスメントのダメージとは健全な概念の破壊
モラハラ加害者である自己愛性パーソナリティ障害の傾向を持つ人々(ここではこれ以降「自己愛者」とします)は、症状のない精神病者と言われています。
以前アンケートを集計しましたが、実際に自己愛者自身が心身症などで苦しんでいる例は少ないです。しかし、そもそもモラルハラスメントをせずにはいられない、この精神構造自体が異常なわけですから、モラハラが症状と考えると、症状のない精神病者というよりは「モラルハラスメントをしてしまう精神病者」といえるのではないかと思います。
自己愛者は自他境界がきちんと形成されていません。
投影性同一視をします。(自分が思った「〇〇はこうだ」に相手が実際なるようにコントロールします)
また、対人関係において理想化と脱価値化という分裂した特有の傾向・サイクルを持ちます。
これらのことがモラルハラスメントに非常に強く影響を与えており、特有のコミュニケーション…というよりもコントロールパターンによって被害者は破壊されていきます。
何を?それは被害に遭うまでは持っていたはずの「自分とはこういう存在」「人間関係とはこういうもの」という人格を形成するうえで大切な概念を、です。
モラルハラスメントの被害によるダメージとは、自信の喪失、人間不信、そして形成されてきていたはずの人格の破壊です。いわば被害者にあったはずの「信用のある世界」の破壊です。
健康な人との違い
人は思い通りにならない時に、理由をつけて自分の心のダメージを減らそうとしたりします。とはいえ、健康ないい大人になればそういった心の整理も「そう思うことにしておこうかな」といったある種の自覚を持っているものです。
しかし、自己愛者はそうではありません。
自己愛者の場合、心のダメージを受け入れることのできる器に機能不全を抱えている(心のトイレが無い)ため、現実を歪めようとしてしまうのです。他者をコントロールして自分にとって都合の良い方に合わせようとする、ということですね。
コミュニケーションというよりもコントロールパターンと書いたのはそのためです。
自己愛者のモラハラ被害は「不信」を生む
自己愛なモラハラ加害者にとっての人間関係は支配・利害関係を基本としています。なんらかのメリットがなければ続きません。
モラルハラスメントの被害者から搾取するメリットとは、心のトイレです。分裂したまま受け入れることのできない嫌な自分を押し付ける役割です。
本来は自己愛者が持っていた汚物を押し付ける役目ですから、被害者はいつも「お前は〇〇だ」とネガティブな性質を擦り付けられます。自己愛者はこれらをより病的な防衛機制によってやっているため、全く自分のことを相手に擦り付けているだなんて思いませんし、自信満々に他者を自己紹介の内容で非難・否定します。
まだダメージが深刻でなければ「私はそんなんじゃない」と思うこともできますが、執拗に何十回もそのように言われ、扱われることにより、被害者は次第に自分が言われるような劣悪な性質の人間であると思い込むようになり、自分自身を信じられなくなっていきます。
<心のトイレをめぐる流れ>
0.自己愛者には心のトイレが無い。
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1.被害者の心のトイレに汚物を入れる。
↓
2.その汚物について、もともと被害者のものであったと思い込ませる(洗脳する)。
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3.たくさんの汚物を投げ入れられ、被害者の心のトイレは処理が追い付かなくなる。
↓
4.被害者が心身症やうつ病などになる。
最初から壊れるほどは入れられません。だいたい、最初にちょっと心のトイレを勝手に使います。その時の反応をみながら、汚物の量はどんどん増えていきます。
病的ではない人を想定(期待)してしまうことによるダメージ
世の中には実は結構な割合で自己愛者が混ざっている、なんて学校では習いません。
自己愛者からの壮絶なモラハラ被害に遭ってしまった人は大抵「こんな人がいるの」というショックを受けます。想定外なわけですね。
・思いやりが思いやりで帰ってくる。
・人はでも完璧じゃないから、うまくいかないこともあるけど嫌だと伝えたら反省はしてくれる。
・関係はお互いに築いていけるもの。
こういうことを前提に接していても、自己愛者を前にした現実は全くそうではありません。
自己愛者はそもそも健康的な人間関係を築くことができないのです。
モラルハラスメントをせずにはいられない精神病者ですから。
自己愛者に対して、自分とのコミュニケーションを経てその関係が健全な関係になっていく期待をしながら付き合いを続けた被害者は、ことごとくその期待を裏切られ、自分が粗末に扱われ、時間や労力を搾取され続けていくことにより、自分の信じていたものが信じられなくなり病んでいきます。
健全な人間関係において「こうしたら大丈夫」だったはずのものは自己愛者には通じないのです。そこには信頼関係も思いやりもなく、ただ自己愛者の自己利益の追求と支配欲に振り回される現実があるだけです。
ありえない人間関係により、被害者は人間不信に陥ります。
自己愛者のモラハラ被害は被害者を自己愛者化させる
ゾンビにかまれてゾンビになる。
吸血鬼にかまれて吸血鬼になる。
とはよくできた例えです。
自己愛者は被害者がもっていた「信用のある世界」を破壊します。自分を信じられなくし、人を信じられなくするのです。
モラルハラスメントは被害者側も信用の無い世界に引きずり込む効果があるわけですね。
心のトイレを持たない人間が、心のトイレを持つ人間にタカって、トイレが壊れるまで酷使する。
という流れですから。
被害者も汚物の処理が追い付かない時期があります。
ですが、被害者はあくまで故障ですので、心のトイレを修理してください。
自己愛者の汚物を自分のものだと思い込まされるというマインドコントロールを受けていたわけですから、「これは自分の汚物ではない」と気づいてください。
あなたの分だけだったらちゃんと流れますよ。
そして、世の中には心のトイレを持たない人間がいる、ということをこの機会に知り、今後の人生に生かしてください。
自己愛者に洗脳されると、あたかも自己愛者が自分よりも強いかのように錯覚してしまいますが、そうではありません。あなたのやさしさと強さに依存し、泥棒しようとしてきた心にトイレもついていない人です。心が貧しいからこそ盗んでなんとかしようとしたのです。
信じることができる、そのあなたの心の宝物の価値を知り、これからはセキュリティレベルをあげて、信用できる人との関係を大切にしてください。
関連記事として、モラルハラスメントを心のトイレなどで図解した記事です。
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