自己愛性パーソナリティ障害にしない子育て

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自己愛性パーソナリティ障害は、本人が好きでなるのではありません。
傷の癒えていない被害者としては、相手の背景など知ったことではない!とまだ思うかもしれません。
ただ、いわゆる被害者体質は共依存体質と関係が深いため、下手をすると自分の子供の責任を背負いこんでしまい我が子を自己愛性パーソナリティ障害にしてしまう危険性があります。

そこで、今回は我が子を自己愛性パーソナリティ障害にしない、という趣旨で記事を書いていきたいと思います。※この記事については、私が心理学や教育学、また育児で学んできたことを組み合わせて考えた独自見解を含みます。

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生存に関わる「欲」

性善説、性悪説、など、人間の捉え方自体色々な説があります。
ここでは白紙説を土台としていきます。

人間は人を殺すことを正義だと教われば平気で人を殺します。
それは「訓練」された人間が殺した数を誇ることにも見ることができるでしょう。

人は生まれた時から共感能力を持っているわけではありません。自分自身の扱われ方や他者との交流を通じ、「世界とは」「人間とは」というものを感覚として習得していきます。

ただ、人間には生物としての欲求というものは存在します。
これは本能的なものであり、理性が発達する前から備わっているものです。そして、生存に関わる欲求であり、この欲が満たされない時、人はまともではいられなくなります。

人間の欲求と言って思い浮かぶものといえば三大欲求(食欲・睡眠欲・性欲)ですが、人間の赤ちゃんは、ミルクとおむつ以外のケアをしないで育てると半分以上が死にます。また、生き残ってもその多くに障害が残ります。参照

人間が「人間」になるためには心の交流が必要なんですね。食と排泄という欲を満たすだけでは心身ともに健康な状態には成長することができないのです。

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母親と自分は別の人間だという感覚

自己愛性パーソナリティ障害については、環境要因であるとする説が現代では一般的です。実際、養育環境で「関係性を学んでいる」とするのが虐待が連鎖する仕組みと言われています。

白紙で生まれた人間が、世界や人間を学ぶとき、自己愛性パーソナリティ障害から学ぶ世界は自己愛性パーソナリティ障害の世界です。

「人間関係は勝ち負けであり、支配か被支配であり、感情を利用し支配することが正しいこと。」

です。

ではなぜ被害者体質(共依存傾向の人)の子どもが自己愛性パーソナリティ障害になる危険性について書いているのかというと、それは自他境界の曖昧さに起因します。

人と人は、それぞれ別の個体です。

これは当たり前のことなのですが、生まれたばかりの赤子というのはそれを感覚的に認識してはいません。なにせ白紙なのですから、世界の全てについてはこれから知るのです。

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共依存傾向にある人は、相手の問題を背負いこみます。

ということは、本来自我が芽生え、本人が「安全基地」をもとに冒険をしながら自分を認識していくときに介入しすぎてしまいます。もちろん命の危険を取り除くのは当然ですが、失敗の排除は学びの排除でもあります。また失敗という心に負荷がかかることを取り除くことは負荷に対する耐性をつけないことにもつながります。

母親が常に自分のそばにいてなんでもやってくれる。そして自分は失敗しない。

という状況が続くことは、「自分は何でもできる!自分はすごい!」という、人間が発達段階で通り過ぎる幼児的万能感から卒業できなくさせてしまいます。「そうではない」という経験が欠落しているので当然と言えば当然です。

そして、この状態にいる子どもは、母親との分離にも失敗しています。別の個体であるという感覚の獲得にも失敗しているわけです。

これがまさに、自他境界の不全と、特権意識、搾取的な関係を当然だという感覚を育みます。

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自己愛性パーソナリティ障害にしない子育て

これらのことを踏まえ自己愛性パーソナリティ障害にしない子育てとは、他者を尊重し合いながら生きていける世界を関係性で学んでもらうことです。

具体的には

・心身に対する理不尽な暴力などのない安全基地の存在があること。

・子どもを独立した一人の人間として捉え、子どもが感じたことに共感や尊重的態度をとること。

・養育者も一人の人間であり感情が存在することを示すこと(養育者自身が不適切に感情を抑圧しないこと)。

・特に2歳児前後の自我の芽生えとともに、次第にその個体の独立性や境界を明確にしていくこと。

・これらの心理的な境界をふまえて自制心や思いやりの心を育んでいくこと(互いに感じたことを表現し合いながら互いの落としどころを探れるようになっていくこと)。

・能力などの表面的なことで過度に人の価値をはかるような態度をとらないこと。

などが大切になります。

人間の脳は最初に動物的な部分が発達し、後から理性的な(人間的な)部分が発達します。それも踏まえて、幼すぎる時期に過度に厳しくするといった養育態度は「安全基地がない状態」になってしまう点も注意すべき点のひとつです。

幸せな人間の基礎は、幸せな人間関係です。

人間は社会的な動物なので、環境次第で大きく変わります。関わる人次第で大きく変わります。

このブログを読んでいる方は、自己愛性パーソナリティ障害の人との虐待的な関係性で疲弊した経験を持つ人が多いですが、どうかご自身の傷を癒し、幸せな人間関係を築いていってください。

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