モラルハラスメントの被害に遭うということ(被害者の後遺症)

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モラルハラスメント(モラハラ)の被害というのは、実際に遭ってみないとそれがモラハラだとすら知らない、というのが残念ながらまだ一般的です。

「いじめ」という言葉の方がその点、被害者が後遺症に苦しむことがあるということも知っている人がいる状態だと思います。

モラハラとは、いじめです。いじめとはモラハラです。

言葉や態度を主体とした精神的暴力によって相手を破壊する行為に他なりません。

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モラハラの被害はわかりにくい

モラルハラスメントというのは外から見るとわかりにくいです。

学級の中でいじめが行われている時、同じクラスの生徒目線では「知っている人は知っている(けど先生は知らない)」といったことが多いですが、いじめではなくモラハラという単語を使用されるような年齢になると、加害者も成長に伴い知恵をつけていきますのでデメリットを排除してよりわかりにくい中で行うようになっていく様子が伺えます。

ちなみに現代のいじめは目が届かないインターネットを介したものがとても多くなっていますし、クラスの中でターゲットを作らない傾向が増えてきているそうです(教育機関で行われたサイバー犯罪の講習より)。

加害者はやり返さない人を狙いますが、よりリスクが少なくいじめることができる環境があるのならばそちらを選ぶ傾向にある、ということでしょう。

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モラハラの被害者にも責任があるのか?

モラハラの被害の実態を知らない人は、そこまで悪い人に見えない、なんでそんな人と付き合っているのか、離れたらいい、と言います。

それは被害者にも責任がある、というような意識が少なからずあるからでしょう。

性犯罪の被害者に「隙があるからだ」などと言う人がいるのもそうですが、被害者の状況を理解している人というのは実際多くありません。そして人は理不尽で理解のできないことを嫌いますので、「因果応報であってもらいたい」からそのような説を支持する傾向があります。

モラハラの被害者とは隙があったのでしょうか?
もし隙があったとするのならば、それは「人を信じたから」です。

人を信じるべからず、なんてなんて悲しい世の中でしょうか。

モラハラとは圧倒的理不尽です。優しさや良心を持っている人のことを加害者が利用することで成立するのがモラルハラスメントです。

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モラハラの被害者が陥る状況

モラハラは最初からひどい状況になるのではありません。最初はむしろ「最高」だったりするのがモラハラです。モラルハラスメントと深い関係にある自己愛性パーソナリティ障害には理想化と脱価値化というサイクルが存在しており、むしろこういった「最高の関係」から「最低の関係」になっていく状況がテンプレです。

モラルハラスメントには始まりがあります。最高に相性のいい人だと思っていた相手に対して、些細な違和感が顔をのぞかせます。

それまでの関係が良好だと思っていた被害者は、その違和感を「たまたまだ」と認識します。たまたま機嫌が悪かった、たまたますごく嫌いなことをしてしまった、たまたま…。

険悪になりそうになると「やっぱり最高の相性だ」と思えるような演出を挟みながら、こういった「お前は俺を怒らせているんだぞ!」といった言動が徐々に激しさを増していきます。

被害者は次第に自分の言動を相手の機嫌によってコントロールされるようになっていきます。「良好な関係」を続けるために。

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モラルハラスメントは、ひとつひとつは些細なことです。

モラルハラスメントの言動のひとつを取り上げたら「大したことない」と思う人が多いでしょう。だからこそ相談することも難しいのがモラルハラスメントです。

モラハラ加害者は

・被害者が友達と出かけると不機嫌になる

・被害者が趣味を大切にしていると不機嫌になる

・被害者がよかった話をすると気分を害するようなことを言う

・些細なことで突然大声で怒鳴る

・ドアを大きな音で閉める

・ため息をつく

・舌打ちをする

こういった行為をとにかく執拗に続けます。

とにかく執拗に続けることによってそのダメージが蓄積されていくのです。

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被害者はこういった状況の中でどうにか対話が成立しないかと試みますが、モラハラ加害者に言葉は通じません。

コミュニケーション自体を避けられるか、会話を始めてもいつも話が捻じ曲げられ、被害者が伝えたいこととは全く違うことを言ったことにされたり、全く答えになってないことを怒気を含めて言われるだけです。

このような状況が長く続くことにより、被害者は傷つき、疲弊し、無力感や孤立感を深めながら、いつも責められる日常の中で「全部自分が悪い」ような感覚に支配されるようになっていきます。

執拗なモラルハラスメントによるダメージが蓄積されてくると、被害者は自分のことを自分で決めることができなくなったり、情緒不安定で突然泣いたり、眠れなくなったりといった心身症の症状やうつ病の症状が出るようになってきます。

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モラハラとは、人格の破壊です。

モラルハラスメントによって加害者から発されるメッセージは「お前はお前であるな」「お前は俺の思う通りであれ」ということです。

被害者の行動のみならず、被害者の好き嫌い、被害者の考え、被害者のやりたいこと、その全てを加害者は暴力によって破壊します。

モラハラの被害に遭うということは、何年も続く後遺症が残るレベルの精神的暴力にさらされるということです。

被害に遭わなければ、モラルハラスメントがどういうものか?も、自己愛性パーソナリティ障害についても知らない人の方が殆どでしょう。

被害に遭ってしまった読者の方は、理解が得られない状況で二次被害に遭うことも少なくないかと思いますが、ツイッターをはじめとしたSNSなどではモラハラ加害者について、またその被害について吐き出している方もたくさんいらっしゃいます。

あまりに同じ状況にびっくりするでしょう。あなただけではありません。

どうか、傷を癒やす過程を丁寧にお過ごしください。

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コメント

  1. くーくー より:

    はじめまして!
    いつもこちらを拝読して元気をいただいています。私も昔からの友人いわく「変な人ホイホイ」で、現在過去最強の自己愛(と思われる)に執着され民事で争っているところです。←自己愛から訴えられました。

    裁判所以外でも行政を巻き込み、あらゆる迷惑を被っています。いざという時のために色々と記録したり相談は続けています。まあとにかく、しつこいです・・・。それだけ魅力的なターゲットだったんだなあと苦笑いするしかありません。現状では被害を受けていても、なかなか警察は動いてくれるところまで行かず自分の身は自分で守るしかない様です。男女間や親子・親族間なら法で守られる事も多いですが友人知人では適応されない。泣き寝入りしている方がどれだけいるのか・・・。

    まだまだ決着・自己愛との完全縁切りまで遠い道のりですが、なんとか頑張ります!

    • kinimini より:

      はじめまして。
      心の底からお疲れ様です…。
      本当にしつこいですよね。心穏やかに過ごせる日々が取り戻せることを祈っております。

  2. みゃう より:

     naru 様、執拗に誹謗中傷を繰り返す言葉による心労いかばかりかと、とても心が痛みます。しかし、その一方でその言葉をスルーするのではなく、不快ながらも向き合い、言うべき事を伝える姿勢から学びを得ています。
     私は医師で学生時代には精神科の領域も学びましたが、数年前からこの疾患と思われる方と関わりを持つ当事者となり、ありとあらゆる本、文献を読み、友人精神科医の意見も聞きながら向き合ってきました。しかし一筋縄ではいかず、伴走者になれるのではと思っていた自分の認識の甘さと、ターゲットとなり疲弊した自分が今後どう在るべきか、気付かせて下さったのはnaru様のこのブログでした。
     今はまだ、ようやく自分の結論が出たばかりで、今後行動に移していくところです。弱気になったり、心が折れそうな時に立ち戻る場所として、自分の身に起きている事を知る場所として、naru 様の志を、開いて下さったこの場所を、貫き守り続けて頂きたいです。
    新しい記事も、心待ちにしています。

    • kinimini より:

      コメントどうもありがとうございます。
      専門家の方にそのようなお言葉をいただくなんて恐縮です。
      伴走者、難しいですよね。夫婦、親子、友達…あらゆる「近い」関係性にある方が悲鳴をあげていることが、その難しさをよくあらわしていると思います。
      境界線を侵略してくる独特の不快感、本当に心が消耗すると思います。どうかどうかご自分を大切にしてお過ごしください。

  3. 西山輝代美 より:

    naruさん、ありがとうございます。記事は私の気持ちを代弁しています。私の主人がモラハラ夫なのは数年前から気付いていたのですが対処方が分からずモヤモヤしていました。結婚した娘に、つい最近、私の親心を踏みにじられようやくわかりました。父と娘は似ています。そこには尊敬も信頼もありません。ただただ私を利用して罪悪感や責任をなすりつけられました。主人は気に入らない事があると離婚を口にして専業主婦の私をバカにし、娘は私を脅しバカにする言動をします。naruさんの記事を読むたびに対処方法がわかってきました。モラハラする人は中身が空っぽなのですね。少しずつですが洗脳が溶けてきて、今は何を言われても知らぬ顔ができます。こちらからは用事がある時だけしか対応しません。乳幼児の言葉に動揺せず、どうでもいいと思えるまでにまだまだ時間はかかりますが、ゆっくり傷を癒していきます。

    • kinimini より:

      どうかご自愛ください。
      距離が近いと何かと大変ですが、なすりつけられていた罪悪感に気づいてきたとのことですので、境界線をきちんと引き直すことに成功すると随分と楽になるかと思います。
      西山さんのこれからの人生が豊かなものになりますように。