自己愛性パーソナリティ障害はうつる?(自己愛性人格障害)

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自己愛性人格障害の被害に遭うと被害者までもが自己愛性人格障害にような行動パターンをとるようになってしまう。という現象が実際にあります。

ただ、根本的には人格障害のグレーゾーンになる、といった方がいいのではないかと個人的には思います。本物の自己愛性人格障害の人間には、良心の呵責や自己無価値感のようなものを認識することがそもそも難しく、ネガティブな感情を自分の中で処理できないことがその行動の理由となっているからです。

被害者にはそれができていました。むしろ人の分までやりすぎてしまうからこそターゲットに選ばれるという傾向があります。

機能を持たない人間とオーバーワークで機能が故障した人間

人間だれでも、処理できる仕事量には限りがあります。本来、自分の仕事をこなしていればいいものを、そこに自己愛が大量の仕事を「お前のものだ!」と投げてきて、オーバーワークになって壊れてしまったのが被害者です。

根本的に機能を持たないのが自己愛性人格障害の人間で、機能は持っていたが故障したのが被害者といえるでしょう。なので被害者はきちんと修理すれば治ります。心の水洗便所と表現していた方がいらっしゃいましたが、とても的を得た表現だと思います。

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どうして自己愛化してしまうのか?

サンディ・ホチキス氏の本↓

この本にて、著者は自己愛人間の特徴的な行動について「恥の投げ下ろし」という言葉で表現しています。心理学的には投影という心の機能になります。

自己愛性人格障害の人間はとにかく自分で自分の「恥」を処理することができません。「恥」、というのは嫉妬などのネガティブ感情として通常理解される感情です。要は、自分のネガティブな感情は全て自己処理できないため人のせい・環境のせいにするということです。

<例>

・Hさんは○○が得意。自己愛は嫉妬する。でも自己愛は自己愛なので嫉妬していると認めることができない。よってHさんが自己愛に嫉妬しているということにする。そういう風に話を捻じ曲げる。嘘の話をばらまいてHさんが自己愛に嫉妬で嫌がらせをしているストーリーを作る。
・自己愛「私は他人よりも特別な存在!」→実際には特別ではない。自己愛はその事実を受け止めることができない。他人を下げることで自分は人より特別だと思おうとする。見下しやすい人間に付きまとい閉鎖的な空間を作り上げ、お前は自己愛よりも下だと洗脳する。

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このような歪んだ環境を自己愛によって作り上げられた被害者は一種の洗脳状態に陥っていきます。

人は受け取った言葉を内面化していきます。内面化とは自分の中に取り込んでいくということです。「あなたは○○よね」という言葉をずっと浴びているとそうだと思いこんでいくということです。ですので、家庭環境などで頻繁に浴びる言葉や態度というのはとても影響が強いです。「あなたは○○よね」は次第に「自分は○○だ」に変換されていきます。

自己愛がやることは基本的に、相手の価値を自分に都合のいいようにするということです。相手を神格化して自分がその神に最も近い存在、として自分を満足させるパターンもありますが、日常生活に置いて自己愛がやることは基本的に脱価値化の方が圧倒的に多いです。脱価値化というのは、人の価値を値引くことです。

自己愛というのはネガティブな感情を自分で処理することもできませんが、自分で自分を満足させることもできません。そもそもそこまで成熟していない状態で心の発達がストップしているので「自己実現」のような感覚を持つことができません。常に自分の価値を相対的なもので価値の有るものにすることに追われています。

被害者は、そういった自己愛の価値の値引きにより「自分はそのままでは何の価値もない存在だ」と洗脳されます。そうして、その無価値感に押しつぶされて鬱になるか、もしくは無価値感に抗うように自己愛のような言動「ありのままでは価値がない自分は価値を身につけなければならない」という状態になります。これが自己愛性人格障害はうつると言われる所以です。

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話は少し逸れますが、上記のような「ありのままでは価値がない自分は価値を身につけなければならない」人間がたくさんいたほうが支配する側の人間にとっては都合がいいので、賞罰教育をはじめとして、本人が何を望んでいるのか?よりも先に勝ち負けを外側が決めるようなシステムが多く採用されている現状があります。

ブラック企業などでも、新人教育と称して新入社員の価値を値引く研修をして洗脳する手口はあります。そうして自分を犠牲にしてでも価値を生み出さねばならないと奴隷的に従事する人間が出来上がります。自己愛は支配できる奴隷を欲していますが、世の中全体に大きな自己愛性人格障害者の作り出す搾取的なシステムが横たわっているのではないかと感じたりします。そのような価値観にNOをいう空気感がここ数年で増してきていることはとても喜ばしいことですね。

■関連記事

今となっては当時キツく当たっていた人達には本当に申し訳ないのですが、私がかつて自己愛性人格障害的な行動をとっていた時のことと、それから今現在に至る回復の過程を書いていきたいと思います。いじめ…自己愛被害で破壊された自尊心 私はいじめに遭ったのをきっかけに、自尊心や心のパウンダリー(
自己愛性パーソナリティ障害は、一般的には「治らない」と言われています。それは、自分にとってのネガティブな評価は受け取ることが出来ないという障害の特性によるものです。ただ、たまに自己愛性パーソナリティ障害を治した、という人はいます。ですので、自分が自己愛性パーソナリティ障害であると

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コメント

  1. ももか より:

    ナル様、お久しぶりです!2年前、こちらにコメントさせていただいた「ももか」です。あの節は、本当にお世話になりました(^^)

    当時は最悪死ぬかも、と思っていましたが、2年後の今も生き延びてこれました。コロナもあり、自己愛関連の本などを読み漁りました。

    ですが、相変わらず引き寄せてしまいます。ナル様はいかがですか?おかしな人が周りに皆無でいらっしゃるといいな、と思います。

    私は今新たな自己愛と闘っています。スルースキルや冷たくあしらうこと、拒否すること、自分に非がないのを認めること、このあたりはでき始めましたが、敵はひるみつつもまだ追いかけてきます。

    「自分が嫉妬されている」と思い込むのは投影なのでしょうね。私の場合は「ストーカーされている」と吹聴されたりもしました。やってもいない悪事の犯人にされるのって、本当にショックですね。。証拠もないのに。

    自己愛は天才ではなく、少し小器用なだけで、傑物というわけではありませんね。でも、まるで万能の神のごとき振る舞いです。ハリボテの自己評価に呑まれそうになります。

    私も自己愛要素を取り入れて、「何がなくても自分は不可侵の存在!」と思い込む戦法で、自信満々に振る舞いたいと思います。あんな変な生き物に負けていられません。

    背後にラオウのスタンドでも背負うような気持ちで、奴らを圧倒したいです。

    • kinimini より:

      コメントどうもありがとうございます。
      お久しぶりです。随分と放置していたサイトを手入れのためにいじったのをきっかけにして少し記事を足していました。
      自分の書いた記事が誰かの役に立てていること、喜ばしく思います。

      他の記事のコメントについてですが、私も頭で理解してからそれが行動になるまでは随分時間がかかりました。
      今もまだとっさの判断では正直できていません。ですが、「おかしい」と思った人とはそれ以上には距離を詰めないようにしています。
      とはいえ、そもそもそれまでの私自身の感覚がおかしかったので、友達だと思いこんでいた人との関係についてもだんだん「なんだかおかしいのでは?」と思うようになって、それが確信に変わって関係を終了することがここ数年多かったです。
      他の人にとって異常な関係でも、異常な関係を普通だと思うように育つと気がつかないものですね。
      人生損した感じは今でも私も感じます。なんであんな関係を受け入れていたのだろうと思います。ですがそう思えるようになったことが前進なんですよね。

      ももか様の幸せも応援しています。

  2. ももか より:

    ナル様、こんばんは。

    先日、複数の自己愛から逃げるために、天職と思しき仕事を辞めました…。私は逃げ方や拒否が上手くなっただけで、やはり相変わらずタゲられ続けているようです。

    新しい記事もとても読み応えがあり、為になりました。すばらしい分析力ですね。たくさんの人目に触れてほしいです(救われる人も多いでしょうね)

    ここ数日自己愛に精神が破壊され心がバラバラでしたが、お陰様で再び統合されつつあります。お礼申し上げます。

    我が家は母が毒親で、子供の頃から今に至るまで、常に厄介な人を寄せ付けます。もう1人で過ごすのがいいかな、と思っています。恋愛も仕事もやる気がなく、ここのところ自暴自棄です。

    今回は、自分の得意を活かす仕事だったのに、意図的なエラーや複数によるしつこい嫌がらせが続き、疲弊してしまいました。

    友人からは、「もっと偉そうに振る舞ったほうがいい」と言われます。ですが身についたもの、なかなか方向転換するのは難しいですね

    でも、私が何も悪くないことは、私が1番よく分かっています。またいつか、復活できるといいのですが…時間薬で、当分自分を大事に甘やかしたいと思います(^^)

  3. カエル より:

    子供が自己愛人間に洗脳され、自己愛性人格障害のような言動をとるようになってしまっています。常に一緒にいるので大変難しいのですが、今の洗脳状態を解除するような言葉掛けのようなものはないのでしょうか。もしご存知でしたら教えてください。

    • kinimini より:

      お子様の年齢にもよりますが、自己愛性パーソナリティ障害にしない子育てについては、
      ・安全基地の存在があること
      ・心理的境界を意識して接っし、2歳児前後の自我の芽生えとともに次第にその境界を明確にしていくこと
      ・子供を独立した一人の人間として扱うと共に、養育者も一人の人間であり感情が存在することを示すこと
      ・これらの心理的な境界をふまえて自制心の心を育んでいくこと
      ・能力などで過度に人の価値をはかるような態度をとらないこと
      などが大切です。

      もし被害の結果として自己愛性人格障害のような言動をとるだけであれば、自己肯定感の著しい低さや無価値感の解消が有効です。

  4. にゃーこ より:

    自己愛と接してる内に自分も自己愛の様になり、離れて住んでる自己愛身内に罵詈雑言、言われた後、嫌な気分が残り続け、家族に長い間八つ当たりしてしまいます。
    怒りが抑えられずに、物に当たったりヒステリーを度々起こしてしまいます。
    私に嫌な事をしてきた自己愛が悪いのは当然なのですが、怒りをコントロールできません。自己愛と喧嘩になっても交わされます。言われた事が本当に屈辱的で耐えられません。感情をコントロールできないし、
    自己嫌悪も少しあります。私としては私を不快したり傷つけたあの人が100%悪いのだから、怒って何が悪いって気持ちが強いです。自分も自己愛と同類です。

    • kinimini より:

      自己愛性パーソナリティ障害は障害なので、基本的に対等に話し合うことも、相手の感情のケアをすることもできません。反省するという能力がないので全部人のせいです。そういう障害です。
      治るのが難しい状況の方は、そもそもご自身の行動を振り返ることができません。記憶がねじまがります。
      にゃーこ様はご自身のふるまいを振り返ることができる方ですので、自分が何に怒り、何に傷ついているのかを知り、相手の性質についてご理解が進んでくると、そのことがそのまま癒しへとつながっていくのではないかと思います。
      感情は抑え込むだけでは自分の中で爆発してしまいます。
      人を傷つけない発散の仕方を心がけ、ご自分を丁寧にケアしてあげてくださいね。