「自分がなぜいじめられているのか?いじめられても仕方がない人間なのか?」
いじめの渦中にいる時の人間は、自尊感情を傷つけられ、自分が価値のない存在であるかのような感覚になってしまう傾向にあります。
しかし、「いじめ」というのは加害者の問題を被害者に擦り付けるための行動です。
これから数回、記事をわけながらいじめっ子とはどういう存在なのか、いじめの手口、被害者が陥りやすい状況などについて解説していきます。
いじめっ子とは
いじめ加害者はいじめ行為をすることで何らかのメリットを享受できる人間です。
そもそも人のことをいじめて気分がいい、というのは皆に当てはまることではありません。
健全な共感能力を有している人は人を傷つけて気分がよくなるものではないからです。
あなたは他人を馬鹿にしてる時に気分がいいですか?人を殴っている時にスッキリしますか?
多くの人はNOでしょう。そもそもそんなことをしたいとすら思わないのが健全な人です。
ところが、ある一定条件下において、人は攻撃行動に対して快楽を感じやすくなります。
ネットリンチなどでよく見ることができますが、「悪人」を成敗するという立ち位置にいる時の人間は非常に残酷になります。自分達に不利益をもたらす個体を排除するという本能に由来する行動でしょう。もちろんそれによって全体の利益を守ることができるケースも多かったわけですからこれがすべて間違っているとも言えませんが。
いじめっ子はこの感情をうまく利用して周囲の人間をコントロールします。
いじめっ子はいじめで快楽を得る
いじめっ子がいじめをしている時の表情を見たことがありますか?
いじめっ子は人をいじめている時、高揚した、とても楽しそうな顔でいじめをします。
脳の活動をスキャンした実験では、いじめっ子は人の苦痛を見ることによって脳に快楽物質が出ているという研究結果がでています。→人の災難を喜ぶいじめっ子の脳
そして、リンク先にありますとおり、
感情の統制に関係する脳内のある部位が、いじめっ子の脳では活動していない
ということまでわかっています。
わかりやすく言うと「我慢できない」わけです。
人を害することによって快楽物質が出ているわけですからそれは「報酬」であり「成功体験」になります。それで「我慢できない」となれば、何らかの抑止力がなければそれはもう加害行為に依存しエスカレートしていくしかありません。
いじめで快楽物質×我慢できない=いじめをせずにはいられない
いじめが成功体験になる=いじめ行為をやめられない
このタイプのいじめっ子は上記のような脳の機能不全を抱えているからこそいじめをせずにはいられません。
ですから話し合ったらわかるなんてことはもちろんありませんし、脳内に出る報酬を上回る、なんらかの不利益がなければ抑止力にはなりません。
いじめっ子はいじめで安心を得る
先ほど、「悪人」を成敗するという立ち位置にいる時の人間は残酷になる、ということを書きました。
人間は仲間や所属というものに敏感な動物です。
人間には鋭い爪も牙もありません。武器の性能をあげることによって攻撃力を手に入れてきましたが、熊やオオカミに襲われればあっという間に食われるだけの非常に弱い動物です。ですが人間は群れて知恵を絞り、労働を効率よく分担することによってここまで力を持ってきました。
そのようにして群れとして生存してきた人間は、仲間との繋がりを重視します。そして人間社会では全体の利益を優先し、それを損なう者を排除してきた歴史があります。
(かつては産婆さんが「死産」として赤子を間引いていましたし、1996年まであった優生保護法では劣等な遺伝子とされた人間は強制的に避妊さえされてきました。「村八分」も村の中で問題だとされた人間を葬式と火事の消火といった他者に迷惑がかかるもの以外は排除したものです。)
いじめをしたい、という動機をもったいじめっ子の主犯格はこの集団心理を利用し、ターゲットにした人間を「排除すべき人間」へと印象操作していきます。
主犯格の操作によって偽りの正義の側に立った取り巻きは、いじめっ子グループの一員としていじめを行います。これは、自分は制裁を加える側、正しい側にいるという所属意識や安心感にもつながっています。
<続編はこちら>
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コメント
読んでて、共感するところが沢山ありました。被害者であった私と、加害者の自分が整理できたように思います。