たまに驚くようなスピードで距離を詰めてくる人や、「え?私達そんな話をする間柄じゃないんですけど…」という人っていますよね。今回はいわゆる「距離なしさん」についての記事になります。
距離なしさんにも種類がある
距離なしさんにも種類があります。それは大きく分けて3つ。人格障害的なものと、発達障害的なものと、それ以外の生育環境が距離なしだったケースとがあります。
・パーソナリティ障害(人格障害)的なパターン
これが一番人を悩ませることが多い距離なしさんです。
とにかくグイグイきます。というか、そもそも自分と他人が違う人間であるという感覚がないので人の部屋を自分の部屋のように認識して勝手に入ってくるような感じでしょうか。相手がどう感じるのか?ということを認識することができません。ターゲットにロックオンして執着します。
その執着心の由来が病んでいるため人を振り回します。
・発達障害的なパターン
発達障害の人は五感が定型発達の人と違います。また嘘が得意ではありません。
したがってお世辞といういわば「嘘」を本当のことだと認識してしまう傾向にあります。社交辞令で親しみを込めてお誘いした場合などは乗っかってきます。これが周囲からは空気の読めない距離なしだと思われる所以です。
ただ、発達障害の人も知能は普通なので、「本当の意味が別にある」ということを知る年齢になるとグイグイ系の距離なしになることは少ないです。
失敗経験が少ないうちは言葉の裏の意味もわからず、自分の情報も他人の情報も全部真実をオープンにするのを前提として接する傾向があります。損得の感覚が乏しく、嘘をつくことのメリットをあまり感じないためお世辞や建前が苦手です。感覚の違いを言語化して説明してあげるとわかりあえたりします。
一点特筆事項として、発達障害の二次障害としてパーソナリティ障害になった場合は大変です。
・生育環境が距離なしだったパターン
このケースは田舎などだと少なくありません。
玄関からご近所さんが入ってきて居間で家主を待っているのが当たり前&近所の人との距離感が家族の人の距離感と変わらない環境で育ったために基本的に人との距離感はそんなもんだと認識しているパターンです。
これは違う文化で育った人なので、文化の違いを理解して互いに尊重できれば解決します。異国文化のようなものです。
また関連するものとして、幼少期から転勤族として育ち「人と親密になる」という経験が不足しているために人との心理的な距離感に遠近があるということが認識できないまま年齢を重ねてしまったパターンもあります。これは行動としては建前の理解できない発達障害のような行動になりがちです。
グイグイ系距離なしさんの「なぜ」
上記のうちの下2つに関しては、異文化コミュニケーションのような心持ちで互いにどう感じているのか?をすり合わせていくことで距離感を調節していくことが可能です。
ただ、特にB群に該当するパーソナリティ障害の場合はそうはいきません。この人達は人を巻き込みます。巻き込まずに生きることが困難です。
特定の人物に執着して加害するモラルハラスメントの加害者としては自己愛性パーソナリティ障害が有名です。
これは人格が発達していく過程で自他境界が分離していないという課題を抱えたまま大人になってしまったケースなので、「話せば分かる」ということはありません。そもそも自分と他人が違う人間であるという感覚を持つことがうまくできていません。それが距離なしの理由です。
そしてこの自他境界がきちんと引けないということ、また、人格形成の過程で自我の獲得が不十分である、ということにより、自分の感情処理に他人を利用せずにいられないため、様々なトラブルを巻き起こしていきます。
よく問題視されるタイプの距離なしさんは基本的に特定の人物(ターゲット)に干渉していきますが、これは自分という存在の不確かさを他人を使って補う行為のひとつとなります。
人格形成が不全であるため基本的に距離なしさんはひとりではいられない不安定さを抱えています。そこで、誰かと関わることによって(誰かを自分の松葉杖のように使うことによって)安定しようとするのです。
求められてもいないのに相手の人生に口をだすことも、相手の情報を集めて歪めて利用するのも、相手を使うことで「(相対的に)自分は価値のある存在だ」とエゴを養うことができるのです。
「私は□□」が根本的な部分では無いので、「あなたは○○、ならば私は□□。」と、いわば他人を使うことによってのみ、自分を認識できるという障害なのです。
距離なしさんのあるある
・食べてる途中のものを「一口頂戴」と、YESとも言ってないうちにひょいと食べる。
・所有物を断りも無く勝手に使う。
・身体にベタベタ触る。
・家に上げられたらこれ幸いにと通されてもいない部屋にまで勝手に上がり込む。
・品定めするように容姿や持ち物を見る。家の中を見る。
こういった行為も距離なしさんあるあるです。
自分と相手の区別がなければ、相手のものは自分のものです。また、相手をジャッジして自分の優位性をあげるための情報収集も欠かせません。
あくまで他者は自分を安定させるためのモノですから。
自己愛性パーソナリティ障害の人がターゲットに接近する時、やたら褒めまくったり贈り物をしたりすることがよくありますが、これらも執着対象との距離をつめるため、メリットを得るための撒き餌のようなものです。好意の返報性の利用ですね。
この人達の対人関係は基本的に「勝ち負け」・「支配・被支配」・「利用価値」です。したがって対等な関係を築くことはできません。
妙に好かれてしまうと最初はとてもよくしてくれますが、そんな時はだいたいこちらを理想化しています。そして、何か違うと思ったらこき下ろして脱価値化して終わります。そこに自分とは違う一人の人間が存在するという感覚を持つことができないからです。
最初はとてもよくしてくれたのに、最後はネガキャンされてないことないこと周りにバラ撒かれて最悪になって終わった…というのは距離なしさんと関わった人達のあるある体験です。
このブログには他にも自己愛性パーソナリティ障害に関する記事をたくさん書いています。「こういう人がいるのだ」という知識をもとに心にしっかりとした境界線を引きながら上手に距離を置けるのが理想です。
「この人なら私をかまってくれる」と思われると執着されてしまいます。ターゲットにされる人は基本的に優しすぎます。自己犠牲と優しさを混同することなく、「自分の心地よい対人スタイルはこの程度である」ということを最初の段階で明言して関わりの深さを調整してください。(例:連絡不精だから面倒に感じる。一年に一回会うくらいが丁度いいのだ。など)
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