「あなたは自己愛性パーソナリティ障害」は伝えない方がいい

Pocket

治る期待もあってなのか、本人に「あなたは自己愛性パーソナリティ障害だと思うから病院に行こう」などと言ってしまうケースや、一緒にカウンセリングを受けようと誘うケースがあります。

しかし、「自覚すること」が困難な人に対してそれは、危険です。

自己愛傾向の程度問題

Sponsored Link

発達障害もグレーゾーンが存在します。

自己愛性パーソナリティ障害の典型行動を持つ人にも、その程度には個人差があります。

「自己愛性パーソナリティ障害が治った」という発信をしている方もいますし、私自身その傾向があった時期があったと自覚をしていますが、こういったケースはそもそも「自覚できた人」であって、防衛機制で忘れてしまうなど認知の歪みがそもそもそこまでひどくありません。

人が自尊感情の傷つきによって自己愛的な傾向を持つことはよくある反応です。被害者の自己愛化は実際珍しくもありません。

しかし、モラルハラスメントなどで問題とされている「自己愛的な変質者」と定義されるような人達は、人に異常な執着をし、手間暇かけて加害することで自己陶酔的な欲を満たすなど、その欲の満たし方が変質的・支配的・加害的です。

「自己愛的な傾向があるよね」という、軽い感じではないです。

一言で言うと、言動が「おかしい」です。

そういった人たちに「あなたは自己愛性パーソナリティ障害だから」というのは危険です。

自分を守るためならなんでもする

Sponsored Link

自覚が困難な自己愛性パーソナリティ障害の方とは「会話がそもそも成立しない」というのをご存じの方も多いかと思います。

どんなに筋道立てて話をしようと、論点ずらし、揚げ足取り、矮小化、切り取り、記憶の改竄…なんでもござれで会話は都合よく捻じ曲げられてしまいます。

そもそも「事実を事実として受け入れること」が無理なんですね。

健康な人なら発動しないような条件下で病的な防衛機制が働くのが自己愛性パーソナリティ障害の重度の方々です。

「自分と向き合って治療をする」という土台が存在しません。

ちなみに心理療法は健康的な自我の部分が治療者に支えられることによって治療が進んでいくものです。したがって、そもそも自我がバラバラという問題を抱えている人を治療することは難しく、適応を見合わせるケースも存在します。それは専門家が心理療法の適用が可能かどうか、様々な検査のうえに判断するものです。(参考文献は下記参照のこと)

治療できるかどうかすら専門家がしっかりみてから判断するのです。

治るかも!という期待を持って被害者が加害者に向かって治療をすすめるのはやめておきましょう。自分と向き合って改善していく治療なのですから、本人が必要を感じていかないと難しいです。

「危険」とは?

Sponsored Link

自己愛性パーソナリティ障害の人にとって、「自分が自己愛性パーソナリティ障害である」なんていう事実はそっくりそのまま「受け入れられないもの」でしかありません。

自分の「良くない」とされる部分も、受け入れられないからこそいつも「自己紹介で人を攻撃」するのです。

お前はわがままだ!

お前は思いやりがない!

お前は自分の利益しか考えない!

お前は支配欲が強い!

これらは全部自己愛性パーソナリティ障害あるあるですが、本人は自分のこれらの性質について自覚することを避け、「自分ではないこと」にするために他人にその性質をなすりつけて非難します。

自分が非難している立場にいることによって「自分はそうではない」ことにして自分を守っているのです。

Sponsored Link

そこに「自己愛性パーソナリティ障害」という情報が加わったらどうなるでしょうか?

そう。

これも鉄板ですが「お前が自己愛性パーソナリティ障害だ!」になるだけです。

さらに、自己愛性パーソナリティ障害の人は「自分が否定された」と感じ、被害者意識、復讐心なども加わり、指摘した人に執着し、その人は攻撃対象になります。自己愛性パーソナリティ障害の人間関係に共感・協調はありません。

利害・支配関係ですから、「自分が劣位に置かれた(と本人が感じたら)」、報復されます。

ましてや「この人は自己愛性パーソナリティ障害だ」と感じる関係ですから、裏の顔を見せている=タゲられ・癒着関係です。

「自分の下の人間が歯向かってきた」といった感じでしょう。

関係を断つのみ

Sponsored Link

「この人は自己愛性パーソナリティ障害だ」

こう感じる関係はもう、基本的には逃げる・去るのみです。

簡単に抜けられない関係であれば、極力接触を減らし、心理的境界線を強固に保ち、決してそのラインを譲らないことです。

うまくすれば「外面モード」の自己愛性パーソナリティ障害になることもあります。

攻撃から逃げるために相手についての情報を得ることも、それらの情報をもとに関係を断つことも差別ではありません。

そこにハラスメントが存在する、というのは紛れもない事実だからです。でなければモラルハラスメントの情報を調べていて自己愛性パーソナリティ障害についての知るという流れ自体がありません。

Sponsored Link

こういった発信をしていると、「お前が自己愛性パーソナリティ障害だ」「みんな自己愛なのに安易にレッテルを貼って差別するな」と絡んでくる人が度々あらわれます。

これらはとても分かりやすい、自己愛性パーソナリティ障害あるある行動です。

離れようとすると攻撃が激化するというのもよくあるパターンです。

自分の性質がバレる、自己陶酔的な欲を満たせなくなる、自己愛性パーソナリティ障害の人達にとってはこれらのこと自体が脅威です。

しかし、関係を断たれること、それ自体が自己愛性パーソナリティ障害の人には必要なことです。

アルコールや薬物から遠ざけて治療するのと同じです。

「加害される人」としてその場にとどまり続けないでください。

治るかどうかはわかりませんが、相手のためにも「不適切な関係」は解消してあげてください。

いつも自分よりも相手のことを優先しがちな人がターゲットになりやすいです。

ですのでご自身のためにも、相手のためにも、そう思って離れてくださいね。

◆参考文献はこちら

↓↓↓

  覚えている範囲での参考文献です。 モラハラ被害に遭っている友人にあげてしまった本なども多いので、どの本にどの内容があったのかまで詳し...

Sponsored Link