人間関係の問題にぶち当たった時、だいたいどこにも書いてある「自分を大切にしましょう」という言葉。今となっては私も書いてますが、「そもそも自分を大切にってなんなんだよ」っていうのが、苦しい現状を生きていた時の感想だったなと思います。そこで、10年以上経過して少しずつ自分を大切にすることができるようになってきた現在、過去を振り返りながら私がやってきたこと・心がけてきたことをまとめてみます。
自分を大切にするとは具体的にどういうこと?
「自分を大切にする」ということは、「自分が感じていること・考えていることを尊重してあげる」ということです。
より具体的に書くと
・休みたいときに休む。
・嫌なことは嫌だと言う。
・やりたくないことは断る。
・自分の権利を守るためには戦える。
・付き合う人を選ぶ。
・やりたいことをやる。
・自分のこれから先の人生に責任をもつ。
・自分の価値観で照らし合わせたメリットやデメリットやコストを考えて自分で物事を決断する。
ということです。
これらのことができていない時、人は被害者意識を持ちやすくなりますし、実際に他者の干渉・支配を受けやすいので被害者になりやすくなります。
日本人の幸福度が低く自分を大切にするのが苦手な理由
日本人は幸福度が低いです。それはなぜでしょうか?大きな理由のひとつとしてあげられることが賞罰教育を始めとした「自分以外の価値観を尊重すべきという圧力が強い」からです。同調圧力でもありますが、「成功者」「負け組」といった本人がどう感じているのか?を考慮しない価値観がわりと受け入れられてしまっているという点に大きな問題があります。要は本来は自分が望んでいないにも関わらず、自分の人生のコストを望んでいないものにかけてしまっているということです。
自分を大切にするというプロセスには、まず自分のことが好きであるということが必要です。そのためにはまず、自分が感じることや考えること、やることには価値があるという感覚が必要です。
自己肯定感を育むためには成功体験が必要だ、というのは割と受け入れられている論ですが、ここで日本の教育的な問題があります。日本の教育現場においては内発的動機づけが圧倒的に不足しているにも関わらず、そこに評価が加わります。「褒めて育てましょう」にも通じますが、本当に重要なことは「称賛される自分には価値がある」という感覚を養うことではありません。結果の前に過程です。本人がどういう意図で物事に取り組んだのか?ということが大切なんですね。
運動能力は生まれつきの能力差が激しく、それは体育の時間の努力でどうにかなるようなものではありません。本来、「身体を動かす」ということは健康にためにも大切であり、生涯を通じてポジティブに運動に関わる姿勢を持てたほうがいいわけです。ところが、教育現場においては持久走では順位がつけられ、チーム戦で運動ができない子というのはチームメイトに邪険にされます。こういった内発的動機づけが無い状態で晒されるネガティブな評価というのは、その人にとって運動自体に「自分はやる価値がない」という意識を植え付け、スポーツ全般との関わりから自分を遠ざける姿勢を生み出します。「身体を動かすことは楽しい」という感覚を育むことができれば、評価とは関係なしに運動にポジティブに関われる人生になるにも関わらず、教育現場ではこういう指導が一般的です。
わかりやすい例として体育を題材にしましたが、これはあらゆることに当てはまります。興味を持って自発的にやるという過程を踏んでいないのにつきまとう評価というのは、人格形成上、外発的動機づけを行動の理由にしがちになるという傾向を示します。支配者にとって都合のいい奴隷的な人間に育ちやすいという側面もあります。
自分を大切にしていくステップ
「自分を大切にするとは具体的にどういうこと?」で書いたとおり、自分を大切にするには自分の内観を大切にすること、要は上記に書いたような外発的動機づけありきの生き方から内発的動機づけを軸とした生き方に切り替えていくことです。
私達は教育の段階で内発的動機づけよりも外発的動機づけありきの育てられ方をしてきています。もちろん各々のご家庭によって、家庭内では内発的動機づけを軸とした教育をされていらっしゃるところも多くあるでしょう。逆に、家庭内でも外発的動機づけが強すぎる教育である場合、それは「条件付きの愛情」と言われるような状態になり、アダルトチルドレンやパーソナリティ障害の原因になります。これらの人達は外的価値に依存した生き方をする傾向が強く対人関係にトラブルを抱えやすくなります。
自分を大切にできていない時は対人関係でトラブルを抱えやすいですが、それは自分以外の価値観に強い影響を受けているからなのですね。では、どうしたら自分を大切にしていけるのでしょうか。それは自分の習慣を変えていく必要があり、日頃から自分を振り返っていくトレーニングが必要となります。続いて私がやってきたことをご紹介します。
人生を変えるトレーニング
ステップ1 自分が持っている思い込みや価値観を自覚する(記述)
ステップ2 自分が持っている思い込みや価値観がそもそも正しいのか疑う(記述)
ステップ3 ステップ2を踏まえて今までとは違う選択をしてみる(実践)
ステップ4 ステップ1~3を色々なシチュエーションで繰り返す
基本的には上記の手順になります。
これらのステップは頭で考えているだけだと感情論が優勢になって混乱してしまうことが多くありますので、基本的にはアウトプットする方向でやってください。私の場合はインターネットに匿名のブログを持っていましたが、他にも「外に出せないようなネガティブな感情」は100均で買った革っぽいカバーのちょっと分厚めのノートに書きなぐっていました。感情的になっていいです。むしろこれは自分で自分に施すカウンセリングのようなものなので、思う存分書きなぐってください。(ささやかなことですが、自分のテンションがあがる物を使うということもまた自分を大切にすることです。)そして、なぜそう思うのか?根拠は?というのをとにかく自分に問うてください。
「何から書いていいのかわからない」という方は、日常生活の中でムッとしたエピソードなどを「なぜ腹が立ったのか?」を分析していくと自分の中の価値観に気がつくきっかけがたくさん眠っています。怒りは大いなるヒントです。そして、怒りの根底には傷つきや悲しみ、抑圧された感情などが隠れていることが少なくありません。
また同様に、日常生活の中で自分が心地よいと感じることに気がつくこと、その時間をしっかり味わうことを大切にしてください。
長い時間がかかりますが確実に人生は変わります。長い時間をかけて育んできた価値観を壊そうとするのですから、それは同様に長い時間がかかります。ですが、自分で自分の人生を生きていけると思えた時、被害者の立場ではない自分の大いなる可能性や力に気がつくことができるでしょう。
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コメント
はじめまして。
ネット検索していてこちらにたどり着きました。
私も機能不全の家庭で育ち、今、その呪縛から抜け出そうとしているところです。(自分に向き合い始めて十数年以上経っても中々先が見えずにいますが…。)
ここのところ、メンタルがどん底近くになり辛かったのですがこちらのブログの記事を読んで心が軽くなりました。
今までの自分を肯定してもらえた感じがして心が軽くなったんです。
今までも周りには中々理解されないでいました。
こちらのブログを読んで色んな事にがってんがいった感じです。
と、いうか
『私も二次被害にあっていたのか』とこちらのブログで知った感じです。
ひとまずお礼をと思いコメントしました。
ありがとうございます。
コメントどうもありがとうございます。
自分の体験が人の役に立てること、私も嬉しく思います。
モラルハラスメントという言葉自体はだいぶ広まりましたが、まだその中身までは社会一般的には認識されていないので、二次被害もまだ多いと感じます。
モラハラは被害に遭ってみないとあの独特の気持ち悪さがわかりにくい、というのも難しい点かと思います。
ツイッターをはじめとするSNSではモラハラの被害体験を呟いている方がたくさんおります。同士はあの気持ち悪さがわかります。
人の体験談はフラッシュバックを起こすこともありますが、「ひとりじゃないですよ!」ということはお伝えしたいです。
どうかご自愛くださいね。
お久しぶりです
自分を大切にしていくステップでノートに書きながら涙が滲んできました
もう50歳を過ぎたいい歳なのに。 と
でもあんな事やこんな事もと 自分の価値観や思い込みを少しでもいい方向に変えられるように努力したいです