自己愛性パーソナリティ障害の人が身近にいて嫌がらせのターゲットにされている人、「なぜ私が？」と思うかと思いますが、自己愛性パーソナリティ障害の病理を知るとその理由が見えてきます。
自己愛性パーソナリティ障害の人は理想の空想世界に生きている
自己愛性パーソナリティ障害（以下、自己愛者）は、現実を現実のまま受け入れることができない障害です。自分は価値のある存在であるという思い込み（現実逃避ですが）を守るために、現実の方をコントロールしようとします。
自己愛者のターゲットには種類があり、大きく分けて「利用」がメインとなるターゲットと、「排除すべき存在」としてのターゲットがあります。関係が近くなれば近くなるほど「利用」するターゲットへの攻撃行動も激化しますが、それも根本的には「現実をそのまま認知することへの障害」が関係しています。
基本的に自己愛者は自分の理想の世界を守るための行動として問題行動を起こし、それらはパターン化された行動となって現れます。
学校でのいじめや会社でのモラルハラスメントなど、コミュニティ内での嫌がらせのターゲットとなる場合はほぼ、劣等感を刺激したがゆえに「相対的評価の優位性を守るために排除すべき存在」として自己愛者に認識されているということです。
自己愛者は自分が優越的な存在であるという妄想にしがみついており、それを崩すような現実は排除しようとします。
例えば、「みんながチヤホヤしてくれているのにチヤホヤしてくれない」、「自分が一番称賛されるべきなのに違う人間が称賛されている」、「自分は優劣の価値観に縛られて生きているのに自由な人間がいる」といった現実は、自分の理想の世界を崩す脅威となるため、彼らの中では「自分を守るために」攻撃行動を起こします。
有名税と呼ばれるものがありますが、何かで社会的な評価を得る過程には自己愛者は必ず現れます。そして彼らは自分が嫉妬しているという感情をも否定しながら攻撃するでしょう。
嫌がらせのターゲットとなってしまった時の対策
基本的に専門家でも手を焼くのが自己愛者ですから素人の我々が下手に関わるのはおすすめしません。関わらずに済む環境が得られるのであれば関わらない方がいいです。
その前提を踏まえて。
自己愛者も「勝てない」と恐怖を感じると諦める傾向が強いです。自己愛者達はその生育環境から、“生き残るため”に健康な人よりも「闘争か逃走か」というサバイバルモードに入りやすいです。そのため勝たなくてはならないという異常な反応になるのですが、あくあまで「闘争か逃走か」です。強い者には弱く＆弱い者には強く出る、上から被ったストレスは下で発散するという感覚を持っています。
自己愛者は未成熟な人格であるがゆえに他者評価に依存し、人からの評価は異常に気にします。他者評価に依存しているからこそ誰かが評価されると「相対的に下になる」から危機感を覚えるのです。自己愛者の中に絶対評価は存在しません。
「自分の評価が下がる」「自分からみんなが離れていく」「恐怖心」というデメリットを突きつけるのは効果的です。自分がやってきた嫌がらせ行為が白日の下に晒されるというのはとてもよいです。支離滅裂な言い訳のようなことを喚いたりする自己愛憤怒を見ることができるかもしれません（もしくは泣き落とし）。
ただ、基本的に認知が歪んでおり、防衛機制によるコントロール不能な激情を伴って行動するため逆恨みなどで何をするかわからない人物です。関わらないで済むのでしたら関わらないのが一番いいです。
「相手は障害があるのだ」という認識のもと、他者と情報共有をしながら「距離を保って適当に受け流しながら基本的には相手にしない」のが大きく現状を変えずにできる安全な対策となります。（自己愛性パーソナリティ障害は外面がいいのでなかなか周りにその正体がバレにくいという点が厄介ですが）
■他にも自己愛性人格障害（パーソナリティ障害）についての記事を書いています。よろしければご参考にされてください。
