注)患者本人が読むことはおすすめしていません。周囲にいる人がどのような点に留意して関わったらいいのかについて、個人的な意見を書いてあります。
ボダの輝くところにお助けおじさん(取り巻き)あり
パーソナリティ障害関連を調べていたら出てきた「お助けおじさん」という単語。
パーソナリティ障害の人がその力を発揮する背景には、ほぼ必ず「お助けおじさん(おばさん)」などの存在がいるという趣旨の話でした。
思い返せばそうだったと深く納得しながら、B群のパーソナリティ障害の方との人間関係に疲弊しながら心理学を学んできた身として、悩んでいる人に向けて知識の共有をできればと思い記事を書いていきます。
なぜ「おじさん」と命名されているのか?については、パーソナリティ障害の中でも特に若い女性に多いとされる境界性パーソナリティ障害の人は、女性として魅力的な場合が多く、そんな女性を守りたいというナイト的な役割を担う男性がうまくマッチングするらしいです。
もちろん、マッチングは男女に限りませんし様々なケースがあります。
「取り巻き」という表現は、性別で区別していない表現でしょう。
基本的にB群に分類されるパーソナリティ障害は対人操作性が非常に高いので、周囲の人をコントロールするスキルに長けています。
お助けおじさんは「正義のヒーロー」になりたい
「お助けおじさん」を始めとした取り巻きは多くの場合「善意の人」です。
…というよりも、「正義」に囚われやすい不安な人である場合も多いです。
特に異性に惹きつけられてナイト的な役割を担っているケースでは、「女の子を守ってる俺かっこいい」みたいな感覚によって自分自身もエゴを養っているところがある、そういう傾向が強いです。
こういった人は正義感とか善意の名のもとに、パーソナリティ障害の人の人心掌握術にハマってしまいます。
「私はあの人によってこんなにひどい目にあっている。」
「こんなに不幸な境遇で…困っているの。助けて。」
という類の同情をひくような嘘の言動(だいたい事実を過剰に装飾しています)によって惹きつけられるというのが多くのパターン。
そして、「僕は○○ちゃんの味方だよ!」ということで、パーソナリティ障害の人の望む行動をとるんですね。
○○ちゃん守ってる俺格好イイ!と。
境界性パーソナリティ障害の人の内面
境界性パーソナリティ障害や自己愛性パーソナリティ障害などのパーソナリティ障害の人は基本的に不安定な内面を抱えており、依存対象を求めます。また、自分が有利・優位・安全ではなくなる事態をあらゆる手段を講じて避けようとします。
健康な人にとっては些細なことでも、「生きるか死ぬか」のような感覚がつきまとうような感覚で生きているのですね。境界性パーソナリティ障害の方がこの不安定さは顕著に行動に顕れます。
「あらゆる手段」というのは、嘘でもなんでもかまわない、相手の都合をはじめとした道徳的なことは度外視しているということでもあります。まさに「溺れる者は藁をも掴む」という状態です。
そして、これはボーダー(境界性パーソナリティ障害)でよく見られる言動ですが、本人があまりに追い詰められるとリストカットなどで「自分を人質にして」周囲を脅し、自分の望む行動を取ることを期待することもあります。
俗に言う死ぬ死ぬ詐欺もそうですが、かまってもらえないなら死ぬ!というのが基本姿勢です。
生育環境・人格形成の段階で大きな課題を抱えてしまっているので、中身は子どものままです。実際、乳幼児はかまってもらえないと死にますが、そのまま身体は大人になってしまっています。そして子どもよりも遥かに知恵はついているわけですね。
よく「ボダからは逃げろ」と言いますが、巻き込まれると本当にものすごい消耗します。その影響は周囲の人間がトラウマやストレスを抱えて病気になるほどです。
操作性や攻撃性は防衛本能からくるので被害者意識が強い
パーソナリティ障害は障害なので、普通の人なら「よくそこまでするよね」と感じるようなことが出来てしまいます。そういった過剰なかまってもらうための行為をやらずにはいられない、そういう障害です。
人格形成段階における課題をクリアできていないことにより不安感が強すぎて、生死に関わるような事態に直面したときに起こる脳の反応が日常レベルで頻発しています。
あらゆる問題となる言動も「防衛本能が暴走した状態」なのですが、実際の言動は過剰防衛を通り越してかなり作為的・積極的に攻撃しているような状態になってしまうのが対人関係でのトラブルを頻発させてしまう原因です。
ですが、本人の本能的な感覚では「自分を守っている」という状態で、むしろ強く被害者意識を持っています。(実際、多くの場合は生育環境において被害者です)
「そうしないといられない」状態で、ましてや自分に生じる不安を適切に処理することができません。そのため記憶までも変わってしまうことすらあります。筆者自身、診断付きのご本人と接してきて、自分で嘘と本当の区別がついているのかも正直疑問だと感じることが少なからずありました。
迫真の演技、というよりも、そういった演技は「不安が増幅された危機的状況が真実であるという思い込み」の結果なので、とても演技には見えない悲痛な相談に、心の優しい多くの人は共感し騙されてしまいます。
嘘は時が経てばいずれバレる…という場合はありますが、特に学校などでは短期間で人が入れ替わるので、境界性パーソナリティ障害の人の妄想によって周囲の人間関係がごちゃごちゃになったまま「さようなら」ということも普通に起こります。
境界性パーソナリティ障害の「かまって」を見分ける
心理学の知識を得ることや人生経験を積むことによって、境界性パーソナリティ障害の人特有の「相談」に違和感をおぼえることができるようになりますが、特に若年層で見分けるのは大変です。
10代~20代前半くらいの人間関係は、境界性パーソナリティ障害の人の影響を強く受けてボロボロになることも少なくありません。
同情心、庇護欲、そういった感情が過度に刺激される「相談」を、そこまで親しくない距離の人にされた場合、警戒した方がいいです。
さらに、「○○が無くて困っている」など、そこからこちらが何かしてあげたくなるように誘導されるような話題があった場合はもはや心の中では確定して距離を上手にとった方がいいでしょう。
境界性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害は、距離を詰めるスピードがやけに早いのが特徴の一つです。自他の境界が曖昧だからこそなのですが、これも見分けるための一つの指標になります。
これらのパーソナリティ障害はターゲットにロックオンした後はあっという間に「親友」「運命の人」のようなポジションにいます。
皆様が健やかな日常を過ごせるように応援しています。
他にも自己愛性パーソナリティ障害や対人関係の悩みにまつわる記事をたくさん書いているので是非参考にしてみてください。