モラハラの被害とは、マインドコントロール・洗脳を伴う支配を受けるということです。
今やポピュラーな言葉として広まったモラハラですが、あの陰湿で意味の分からない気持ち悪いものを体感と知っている人は実際にその洗脳・支配関係に陥った人でないとなかなかわからないかもしれません。
「どうしてそんなのと一緒にいるの?」
「見抜けなかったの?」
これらのフレーズがまだよく出てきてしまうのは、モラルハラスメントの実態までは理解がされていないことの表れでしょう。
モラハラで破壊されるもの①自他境界(バウンダリー)
モラハラは支配関係であるためそこに自他境界はありません。
人と人の健全な境界が無いのです。
これも、侵略された人でないとなかなかわからない感覚です。
モラルハラスメントの加害者は、提案者によって「自己愛的な変質者」とされています。
精神科医が変質者と表現するくらいですから、この「自己愛的な変質者」は通常の感性ではありません。
健全な自他境界が無い、ということはアナタは私・私はアナタという世界です。
一見、「みんなは誰かのために、誰かはみんなのために」みたいな世界観に思えますが、そうではありません。
支配関係を軸としていますので、他者尊重は無く、どちらかがどちらに従属しているということです。
むしろこれがモラハラ加害者にとっての標準的な感覚です。
モラハラ加害者の人間関係はこの支配関係をベースとしていますから、当然被害者も加害者と「人間関係」を作る以上、支配か被支配かの関係に巻き込まれます。そして人間関係を支配関係で捉えない人は支配される側におかれます。
支配下に置くための手口は別の記事でも扱っていますのでそちらも参考にしてみてください。
→「自分が間違ってる」と思わせるモラハラ・パワハラ加害者の手口
→モラハラの被害者が逃げられなくなっていく理由~モラハラの手口
これらのマインドコントロールにより、被害者は自他境界を引くことを許されなくなるのです。
そして「アナタは私・私はアナタ」という自他境界の不全は
↓
モラハラ加害者「お前は俺のために」
モラハラ被害者「私はあなたのために」
という関係を作っていくのです。
被害者は人間関係を支配関係では捉えていないため、被害者が思う良好な人間関係を求めて加害者に気遣いや思いやりをささげます。しかしそれらはことごとく「当然のこととして」加害者に吸い上げられます。
そしてもっともっとと要求レベルは上がっていくでしょう。
自他境界の再建~気づき
自分と他人の境界線が破壊された関係は、支配者が支配対象から様々なものを吸い上げる関係になります。
被害者は「そうしないとよくない目に遭う」という経験からこの搾取的関係に固定されています。
外から見ているとその異常さがわかるものですが、被害者本人はマインドコントロール下にあるためそのように思ってしまうのです。また、深い洗脳下にある時は特に「自分が被害に遭っている」ということを認めること自体が難しい場合があります。
被害者はそもそも相手は付き合うに値しない相手であるということに気がつくことが大切です。
これには自分が置かれている状況が異常であること、モラハラの被害への気づき、加害者の人格的問題への気づきが必要です。
周りが皆、奴隷であれば、自分が奴隷であることに気がつくことはありません。
しかし、奴隷でない関係があることを知ると、自分が奴隷であると気がつくでしょう。
自他境界の再建~自分への許可
昔ながら?のDVモラハラ男について「男なんてこんなもん」と思っていれば、加害者の人格的問題にも目をつむるでしょう。昔は女性の経済力が今よりもひどく取り上げられていたため、男性に隷属し我慢する以外に選択肢がありませんでしたし(今も賃金格差はすごいですが)、諦めることで適応してきた過去が残した知恵や言葉もあるのでしょう。
しかし現代、女性が賃労働すること自体に後ろ指を指される時代ではなくなりました。
実際、おかしい人はどこにでもいますが、そもそもおかしい人とは無理に付き合わなくていいのです。
時代は変わりましたし、過去の価値観を引きずる必要もありません。
自他境界をしっかりと引いた人付き合いは、相手のテリトリーを侵略しない・自分のテリトリーを侵略させない関係ですから、「付き合う人は選べる」「選んでいい」ということを当然とします。
特に、女性が押し付けられがちな「べき」には「従属せよ」という意味がよく含まれています。
今もなお、女性に対して「無料の家政婦」のようにふるまうことを推奨する婚活アドバイザーなどが存在するようですが、これはモラハラ加害者が大好きな「進んで自己犠牲してくれる人」の態度になりますので、おすすめしません。
モラハラ加害者は「お前は俺のために」を求めます。わざわざそんな相手に気に入られようなど、自らを不幸にする振る舞いです。
あなたはあなたの時間・労力・お金・その他を自分の好きなように使っていいのです。
それが大前提です。
それを「お前は~するべきだ」「~しないなんてお前は冷たい」という圧力をかけてくる人間はそもそも自他境界が弱いですし、支配的で危険な人物です。
付き合う人を選び、自分が自分の好きなように生きることを自分に許してください。
あなたに相応しい人は、あなたを支配しません。