人の喜ぶ顔を見るのは気持ちのいいものです。
それがある意味「見返り」なわけですが、自分が誰かの役に立つことで自分の存在意義を感じようとする傾向の方は、一歩間違えると不健康な人間関係の沼にハマりやすくなってしまいます。
「共依存」という人間関係への依存
共依存は、自分ではない誰かの問題にのめり込む人です。先に述べた「誰かの役に立つことで自分の存在意義を感じようとする傾向の方」は、共依存傾向にあると言えるでしょう。
共依存の方の優先順位は他人>自分です。
なぜなら、自分の存在意義を感じることと他人の問題を背負い込むことがリンクしてしまっているので、自分自身のことを後回しにしてしまいます。だから「依存」なんですね。
依存症には色々なものがありますが、どっぷり依存症の状態にあるときにはなかなかそれが依存であると自覚することが難しいものです。「何かがおかしい」と自覚できればいいですが、知識を得て自分の行動が依存症であると自覚できるようになる、というのは幸福な例でしょう。
依存は依存を引き寄せる
共依存傾向にある人は他人の問題解決のために奔走しがちです。
そうすると一方で「他人に問題解決をさせようと依存してくる人」と受容と供給が合致します。
よく「仕事はできる人のところに集まる」と言いますが、これは何も仕事だけではありません。そしてその中身は仕事ができる…というか「責任という荷物を持ってくれるかどうか」です。
能力の高い人は他人の荷物も持ててしまうので「あれもこれも」と渡されます。
共依存傾向にある人も自分そっちのけで他人の荷物を持つので「あれもこれも」と渡されます。
そもそも、隙あらば他人に自分の荷物を渡そうとする人がいるんですね。
能力の高い人、そして自己犠牲的な人や共依存傾向にある人は、そういった人に見つかるんです。
ギバーとテイカーは引き合う…マッチャーを探せ
ビジネス関連の本などで一時期話題になったギバーとテイカーですが、ギバーは与える人、テイカーは奪う人(貰うだけの人)です。そして貰ったら貰った分返すマッチャーという存在がいます。
世の中の殆どの人はマッチャーです。
そして、大きな成功を手に入れる人はギバーだと言われています。一方で、一番貧しくなるのもギバーと言われています。
その結果の違いは、与えた相手がテイカーだったかどうか、また、テイカーを避ける戦略を立てていたかどうか?です。
テイカーは貰うだけなので、ギバーが与えた利益を最大化することに全く貢献しません。ただただギバーから吸い付くすだけであり、もっとくれと言うだけです。
人間関係には好意の返報性というものがあります。これはビジネスで言うところのマッチャーの態度に当てはめることができます。ギバーはマッチャーを相手にした場合、与えたものが何らかの形で巡って双方にとっての利益になっていきます(WinWin)。
現代にはお金という道具がありますが、世の中はある意味物々交換で成立しています。好意の返報性を始めとして「交換する」という意識があるからこそ利益は増大していくんですね。
これを人間関係に当てはめて考えると、いかにテイカーを避けて生きていくのか?が幸せの鍵ということです。物々交換のできない相手にあげているだけだと飢えて死んでしまいます。
逆に、テイカーを避けてギバーであることができたなら豊かさは増大していくということです。
依存先を増やすことが自立
幼い子供は親に依存しています。親の保護がなければ死んでしまうからですね。
そして人間は成長に伴い、関わる人を増やし、所属するコミュニティを複数持ち、仕事や趣味など、様々な自分を育んでいきます。
人間とは社会的な動物です。集団の中で迫害されると強いストレスを感じ病んでしまいます。それは不健康な人間関係がそのまま病に通じているという意味でもあります。
モラルハラスメントを行う人は、加害者と被害者の間に強い依存関係を構築しようとします。被害者の交友関係に干渉したりして被害者をコミュニティから引き離したりするのはまさにそのためなんですね(無意識であっても)。
人の役に立つことに依存する傾向のある人は是非、特定の誰かにとらわれない人間関係を目指していってください。もし酷い人間関係の中でどっぷり共依存の関係になった経験のある方でしたら、自他境界が脆弱になっていますので、人間関係もしばらくライトなものの方がいいでしょう。
自己犠牲的にならずに自分を利用する
「人の役に立ちたい」
これは素敵なことです。共依存、と言われると響きが悪いですが、ギバーという資質は世の中によい流れをつくることのできる資質です。善意で起こした波が、大きくうねれば世の中は豊かになるでしょう。
ギバーという資質は世の中に良い流れをつくることのできる資質です。(大事なことなのでもう一度言います)
ただし、それは相手を間違えなければ!です。
依存的な人に執着されやすい人は、是非、そのあなたの力で利益を最大化するにはどうしたらいいのか?という視点を持っていただきたいです。
自己犠牲で自分が疲弊しては利益は最大化できません。そしてあなたの力を吸い尽くすだけの人を相手にすることも自己犠牲のひとつです。
自分を大切にすることが苦手な人は自己犠牲的なスタンスをとりがちです。が、自分から最高のパフォーマンスを引き出すためにはどうしたいいのか?という、自分を大切にすることが苦手なら苦手なりに、自分という資源を有意義に利用する視点でものをみてみることで、結果的に「自分を大切にしなければ周囲の物事もうまくいかない」ということがおわかりいただけるのではないでしょうか。
大切に使っているものはメンテナンスしますよね?
対象に関心を持ち、気にかけて適切なメンテナンスをする、という行為を自分自身にもしてあげることであなたはもっとあなたらしさを発揮できます。
自分自身に手間暇をかけてあげること、どうか心がけてみてくださいね。
自分を大切にするということがよくわからない人の向けの記事も書いているので、心当たりのある方は是非読んでみてください。