どうも日本では自己愛性パーソナリティ障害の特徴がアスペルガー症候群をはじめとした発達障害の特徴として紹介されていることが多いので、その見分け方の参考に記事をまとめてみます。
自己愛性パーソナリティ障害の特徴的行動でありながら発達障害の人には難しいこと
自己愛性パーソナリティ障害も発達障害も、社会生活を営む上で問題を抱えやすいという特性はあります。また、(マジョリティな人と同様の「察する」を伴った)他者尊重の姿勢を持ったコミュニケーションが難しいという点でも共通点があるため、何かと一緒にされてしまいやすいのかもしれません。
ですが、「最初はすごくいい人だったのに騙された」などと言った被害の声があがった時によくアスペルガーが引き合いに出されているのを見ると非常に違和感を覚えます。
というのも、発達障害の何が障害なのか?と言えば、発達障害の人はそもそも「定型発達を標準とする社会に適応した振る舞いをすることそのものに難しさを抱えている」からこその障害なので、人を騙す程器用であることは稀なんですね。
発達障害は自分を繕うことが苦手
発達障害の人は嘘をつくのが基本的には下手です。言葉の裏の意味を認識することがそもそも難しいです。一般的に「言葉通りに受け取る」「冗談を真に受ける」などと言われますが、本音と建前を使い分けることが下手で「空気が読めない」などの評価を受けてしまうことが多い障害です。
一貫性を求めることが多いので、モラハラの行動パターンにあるダブルバインドなども難しいことが多いです。
発達障害は嘘をつかない、とまでは言いませんが、すぐバレるような嘘ならつける、といった認識になるかと思います。
また、感覚過敏・感覚鈍麻、集中のコントールの難しさ(過集中・注意力散漫)などを持っていることが多いからこそ適応障害を起こすので、「合わせる」ことは苦手です。
例えると、教室に座って授業を受ける際に、隣の教室の声が大音量で耳に響いている状態で授業を受けさせられているような状態、などに匹敵する感覚で生活することを強いられているのが発達障害の人達です。(感覚過敏は聴覚だけではなく、味覚や触覚、様々なものがあります)
こういった特性のため、みんなが出来ていることがスムーズにできない、といった障害を抱えてしまうのですね。これは大きな特徴のひとつです。もちろん発達障害にも様々な出方がありますし、グレーゾーンもありますから必ずできないと断言することはできません。
自己愛性パーソナリティ障害が得意とする外面の良さを演出することは発達障害にとっては基本的には困難と苦痛を伴うことの方が多いのが実態です。
そもそも社会に適応すること自体に苦労する傾向があるからこそ発達障害なので、外面の良さを演出することができてしまう時点でそれはもはや発達障害と言うのは難しいのではないでしょうか。
ただ、発達障害の中でも比較的軽度であり、また、社会生活に適応できないデメリットを嫌と言うほど知っていて知能が高いなど、擬態する能力があるケースに限って「それらしくいい人」をテンプレで演じるということはあります(模範解答を学習してそのとおりに答える感じですね)。
とはいえ、前述しました通り、そういったことは重度の発達障害ではまず無理ですし、グレーゾーンの人が「上辺で正解の振る舞い」をする場合、そのことに集中して疲労困憊になることが殆どです。
こういった状態で、誰かをターゲットにして自分を演出して魅力的に誘惑し、閉鎖的な関係に持ち込む…というのはなかなか難しいです。もしそれができるのであれば…いや、そもそもそういうことをしたいという欲を持っているのであれば、それはもはや発達障害の症状ではなく、自己愛性パーソナリティ障害故の衝動だと言えるでしょう。
発達障害の二次障害として
発達障害を抱え、過度な叱責などの不適切な育児・教育環境にあったり、または本人の愛着を感じる能力に問題があったがゆえに愛着形成に問題をかかえて自己愛性パーソナリティ障害になることはあります。
こういったケースで両方の特性が色濃く残っている場合、これは筆者の個人的な感じ方としての表現にはなりますが、「そもそも人と仲良くなるのが難しい人」になっていると感じます。
一方的なコミュニケーション&共感を示すことが演技でも出来ない&マウンティング…という状態では、そもそも人間関係を進展させることができません。
発達障害の多くは「気になったこと」に対する衝動のコントロールが困難、という面があるので、そこに自己愛性パーソナリティ障害の衝動が加わると…その厄介な言動が想像できるのではないかと思います。
読者の皆様のイメージのために、少し誤解を与えるかもしれない表現をすると、「自分の興味のあることばかりを一方的に話しながら、クソバイスとマウンティングとディスりをしまくる攻撃的なオタク」のイメージです(←表現がひどい。ごめんなさい。)。
閉鎖的な関係性に持ち込んでモラルハラスメントをできる程人間関係を作れない、といったイメージが伝わりますでしょうか。
一見普通に見える発達障害&自己愛性パーソナリティ障害のケースを社会で目にするとすれば、その多くは特性をかけ合わせた過集中型ワーカーホリックになっているケースかなと感じます。もちろん社会に適応できてる段階で発達障害としては軽度ということになるでしょうし、問題のメインは自己愛性パーソナリティ障害ですが。
モラルハラスメントというカテゴリーよりはパワハラのカテゴリーによくいる人たちですね。
数字を出したからと管理職になってしまい、組織としては大失敗…というわりとよく見られるケースなのではないかと思います。
また、こういった場合は「仕事ができる(実際は仕事に依存している状態)」という魅力によって、「不器用で少し小難しい人だけど仕事は真面目で実直な人」というイメージ&そんな彼を支えてあげたい…などというカップリングにより結婚できてしまうケースがあり、そうなった場合は家庭でのモラルハラスメントにももちろん発展しやすいです。そういう障害ですので。
さて、今回は自己愛性パーソナリティ障害の濡れ衣を着せられることが多い発達障害と自己愛性パーソナリティ障害についての記事でした。
経験則による話も多くなりましたが、ご参考にしていただければと思います。
他にも自己愛性パーソナリティ障害に関する記事をたくさん書いておりますので、お困りの際は是非読んでみてください。